人生を変えるまず一歩に『シリコンバレー重要思想家ナヴァル・ラヴィカント』著：エリック・ジョーゲンソン

まず、ナヴァル・ラヴィカントって誰？

　タイトルを見て、こう思わなかった人はどれくらいいるんでしょうか。アメリカでは有名なのかもしれませんが、日本では「え、誰……？」と言わざるを得ません。

　本書によると、ナヴァル・ラヴィカントはシリコンバレーで有名な事業家。エンジェル投資家と投資家を結ぶ企業の創業者として有名で、投資家としても成功。３０を越える企業でアドバイザー、取締役をつとめている。……らしい。

　とりあえず経歴を見て分かるのは、とってもすごい人だということ。雲の上の話すぎて、それ以上分かりません！（ごめんなさい！）

　で、そんなすげー人が自ら筆を執ったわけではなく、熱心なファンの方が、ナヴァルの投稿記事、ツイート、対談などを元に編集したものが本書。しかも本書の電子版の出版は無償で行われ、ナヴァルは一切利益を得ていないという。（ちなみに私が今回手に取った紙版。紙版の利益はどこにいってるんだろ？）

　この本は大筋は二章立てで構成されています。第一章は「（運に頼らず）リッチになる方法」を語ったツイート群とその解説。第二章は幸福について語られています。
　一章の中核をなす、本書の四ページと半分程度を費やして掲載されたツイート群をまず読むことになりますが、おそらくこれだけ読んでも、ある程度は読者の多くは感銘を受けるのではないかと思います。

時給思考を捨てろ

　というわけでさっそく読んでみましょう。

時間を切り売りしていてはリッチになれない。経済的自由を得るには、エクイティーー事業の一部ーーを所有せよ

本書Ｐ４１

　時間を切り売りしていてはリッチになれない……と言われましても、ハイ分かりましたとなかなか素直に返事できないのが我々の性。いや、そもそもそもそも働いた分だけお金ってもらうもんでしょ！　

　時給１０００円×８時間＝８０００円、月給３０万×１２ヶ月＝３６０万！　お金の稼ぎ方とはこうだ。そして金持ちとは月給が３００万だったり、１０００万だったりすること！

　時間当たりの単価の差がお金持ちと貧乏人の境界線である。

　日本人の大多数がサラリーマンだと思われるし、こういう考え方の人が多いのではないでしょうか。
　そうじゃない、とナヴァルは言っています。

勤勉に働けば富を得られる、十分な金を稼げる」という誤解があるようだが、たぶんそうはいかないよ。理由はいろいろある。所有権を持たないと、インプットとアウトプットが密接に連動するんだ。つまり君が投入した時間や労力に比例した報酬しか得られない。

本書ｐ６８

　「働いたら働いた分だけもらえる、それで十分じゃない？」　あるいは「それが当たり前でしょ？」そうお思いになる方、いらっしゃると思います。
　そうお考えの方ほど、一度この本を手にとって読んでみてほしいと思います。「当たり前」が本当に「当たり前」のことなのか、考えてみるいい機会になると思います。

　私も「当たり前」と思う側の人間でした。でも、今は疑問を抱いています。といっても、たいそうなことを考えているのではありません。

　毎日毎日、お仕事をしていらっしゃるサラリーマン諸兄。お仕事好きですか？　好きなら、それはいいことです。すばらしいことです。
　ところで、定年までお勤めになるとだいたい４０年ぐらいは勤務することになりますね。人生の一番気力と体力にあふれているこの時期をほとんど仕事に捧げることになりますが、どうですか？　それに値するぐらい、価値があると信じられる仕事でしょうか？

　私は、今の仕事に対して価値があるとは信じられないと思いました。価値が見いだせないのなら、お金のために働くことになります。
　では次の質問。お金のためだけに、働きたいですか？
　私の答えはノー。人生４０年を費やし、残った余生だけを楽しみにするのはいやだと思いました。何か変えられることがあるなら、変えたいと思いました。

　みなさんはどうですか？　まず考えてみようと思った方がいたら、一度本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。時間を切り売りするな、事業を所有しろとはどういうことか……？　その意味を確かめるために一度、読んでみてください。

　今後の人生において、大きな助けになってくれると思います。